アパート建築Q&A

相続された土地の相続税と固定資産税はどうなる?

ご両親などが亡くなってしまい、土地として遺産を相続する際に心配になるのが相続税と固定資産税です。
「いったい、どのくらいの請求額がくるのか?」「いつまでに用意すればいいのか?」「控除は受けることができるのか?」など気になることも多いことでしょう。

相続税は遺産を受け継ぐことで発生する税金のことで、固定資産税はその土地を所有することで課せられる地方税です。
土地を相続する場合にかかってくる実際の相続税、固定資産税について、それぞれ詳しく見ていくことにしましょう。

○土地にかかる相続税

相続税とは

相続税とは、被相続人から遺産を受け継いだ時に課せられる税金です。
遺産総額が一定の金額を超える場合、申告が必要となります。
ただし、遺産総額が一定金額を超えない場合には申告自体必要なく、納税の義務もありません。

遺産の中に土地などの高額な評価額の不動産があることも多いですが、ここに相続税が発生した場合、相続する予定のお金から支払うことはできません。
相続者本人の財産から相続税を支払う必要が出てきます。
財力がなく、支払うことができない場合には、銀行で借り入れするか、不動産自体の売却を検討するしかありません。
支払える見込みが疑わしい場合は、できるだけ早く相続税の額を把握し、どのようにして納税していくのかを考えることが大切です。

相続税の非課税枠は?

相続税には、非課税枠が設けられています。
お金がないために、遺産を引き継げなくなることを避けるために設けられた制度です。
法定相続人の人数によって金額が変わってきますので、確認しておきましょう。

法定相続人1人・・・3600万円以下
法定相続人2人・・・4200万円以下
法定相続人3人・・・4800万円以下
法定相続人4人・・・5400万円以下
法定相続人5人・・・6000万円以下

となります。
それ以上の人数になる場合は、
3000万円+(600万円×法定相続人の人数)の様に計算することができますので、一応頭に入れておきましょう。

相続税の申告は?

相続税は、上記の金額を超える場合、支払いの義務が発生します。
ただし、通知や何かで知らせてもらえるものではありません。
被相続者が亡くなった翌日から10か月以内に税務署に出向き、自ら申告する必要があります。
相続税の支払いもこの期間と定められていますので、必ず行うようにしましょう。
10か月以内に申告をしなかった場合、通常の相続税に加算税が付け加えられます。
また、この期間内に支払をしなかった場合にも同様に延滞税が課せられますので、できるだけ早く申告、納税を行うよう心がけましょう。

相続税の配偶者控除

配偶者の場合、相続の際に税金がかからないことがあります。
これが配偶者控除と言う制度です。
配偶者はパートナーがいなくなってしまったことで、働き手がいなくなるケースも多く、老後を迎えるために生活への備えが必要となります。
また、遺産は被相続人が一人で築きあげたものではなく、夫婦共に協力して築いた財産でもあるため、それを考慮した制度です。

その他、被相続人と同世代なため、その遺産を再度誰かが相続する場合、短い期間に2度税金がかかることを避けるため、配偶者に限り特別な控除を設けていると言う訳です。
配偶者控除は、次のうちいずれか金額が高い方を非課税とすることができます。

・1億6000万円以下
・配偶者の法定相続分

法定相続分が5億円ある場合、5億以下までが非課税となります。
また、法定相続分が1億となる場合、遺産分割協議で法定相続分を超えて1億6000万円までは非課税で相続することも可能になります。
配偶者控除などを念頭に置き、遺産分割協議の際には相続する遺産を考えていくことも大切と言えそうですね。
ただし、配偶者控除の減税処置を選択し、支払う税金が免除された場合でも、税務署への申告の義務はありますので注意しましょう。

課税される相続税はいくらになる?

課税の対象となる遺産は、相続した財産から、基礎控除額を引いた金額となり、これを課税遺産総額と呼んでいます。
課税遺産総額に対し定められた相続税率を掛けた金額が、支払うべき相続税となります。
まずは課税遺産総額の金額の出し方から見ていくことにしましょう。
課税遺産総額となるのは、

遺産全体の額+被相続人がなくなる3年前までに贈与した金額-借金や葬儀費用の総額-基礎控除額=課税遺産総額

となります。
ここでも、遺産に含める必要のない財産がありますので、そちらについてもチェックしておきましょう。

非課税財産とみなされるもの
・墓所や仏壇、香典など
・相続人が受け取る生命保険の一定額(500万円×法定相続人の人数)
・被相続人が受け取った死亡退職金の一定額(500万円×法定相続人の人数)
・慈善事業のために使用する財産
・障害者の共済制度の受給権

などがあります。
これらは遺産の総額に含める必要がありませんので、これを除いた金額を割り出し、遺産総額を算出していき、相続税額を確認してみると良いでしょう。

○土地にかかる固定資産税

固定資産税とは?

固定資産税とは、土地の所有者に対し、課せられる市町村税です。
毎年1月1日現在の土地の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人に対し納税書が送られてきます。
土地を所有している者が死亡してしまった場合、その納税義務は法定相続人全員で負うことになります。
土地を誰が受け継ぐのか決まっていない場合でも、亡くなった方が支払うべきその年の固定資産税と遺産分割協議が終了するまでの固定資産税を法定相続人全員で分担する必要がありますので、心しておきましょう。

相続人代表者指定届

死亡届け出が出されたことで、市町村は土地の所有者が死亡したことを同時に把握できます。
固定資産税の納付は、元の土地の所有者が死亡したことで相続人に引き継がれることになりますので、相続人に対し、納税代表者を決めるよう求めてきます。
これは相続とは異なり、あくまでも納税通知書の郵送先を決めるためのものです。
代表者となったからと言って固定資産税の納税義務がその人一人に負わされるものではありませんので、まずは指示に従い、できるだけ早く「相続人代表者指定届」を提出しましょう。

「相続人代表者指定届」
相続の中に不動産があり、まだ誰が土地を相続するのか決めかねている場合、「相続人代表者指定届」が必要なことがあります。
相続人代表者つまり、固定資産税の納税通知書を受け取る人を届け出る手続きになります。
届け出には代表者の署名捺印と相続者全員の署名が必要となりますので、必要事項を記入し提出するようにしましょう。

個人名義の納税通知書がある場合は?

相続人代表者指定届以前に、個人名義の納税通知書が手元にある場合や、送られてきた場合、それを利用して固定資産税を支払うことも可能になっています。
しかし、届け出と重複してしまうこともありますので、念のため支払い可能か、確認してみると良いでしょう。

固定資産税の額は?

固定資産税の額は、固定資産税評価額を基に算出されています。
納税通知書には、評価額または固定資産税評価額として記載されていますが、畑や宅地などその項目によって固定資産税額は異なってきます。

まずは手元にある納税通知書で確認しましょう。
ただし固定資産税評価額は3年に1度見直しが行われます。
相続した後、考えていた額と変わることもありますので、頭に入れておきましょう。
ですが、納税額が極端に変動することはまずありませんので、目安として考えておくといいでしょう。

住宅用地の場合、固定資産税評価額=課税額と考えておきましょう。
相続した土地が住宅用地の場合、税負担軽減のための特例が反映されています。
自分が住んでいる建物の敷地だけでなく、アパートと言った他人へ貸している土地であっても適用となります。

住宅1戸あたり200平方メートルまでの小規模住宅用地では固定資産税評価額の×6分の1が固定資産税となり、200平方メートルを超える一般住宅用地でも固定資産税評価額×3分の1となりますので、固定資産税をかなり抑えることができます。
相続した土地の固定資産税は毎年のランニングコストとなりますので、税負担を抑えるためにも住宅用地としての利用を考えてみると良いでしょう。