アパート建築Q&A

田舎の土地活用に悩む

田舎の土地を相続したり、所有している場合、悩むのがその活用法です。
持っているだけで毎年、固定資産税などの税金がかかってきますので、どうにか活用する方法を考えたいものですが、田舎と言う立地上、有効な活用方法が見つからないと言う方も多いと思います。
ここでは、そんな田舎の土地の活用法について考えてみたいと思います。

売るのが正解か、不正解か?

田舎を車で走っていると、売地と言う看板を目にすることも多いと思います。
有効な活用法が見つからず、最終的に売却を考える方が多いためです。
「土地は広くあるが、良い活用法が見つからない」「税金ばかり来るので、所有が負担になってしまっている」などの理由から売却を考えてしまうからでしょう。

しかし、田舎の土地は都会の様に売却を考えたからと言って、すぐに買い手が見つかるとは限りません。
何年も売地のままで放置することになると、結果的に多くの税金がかかり、負担となってしまうばかりです。
やはり売却するのは最後の手段と考えた方が賢明と言えるでしょう。

まずは活用できる方法を見つけてみましょう。
その土地から少しでも収入を得ることができれば、負担となるばかりか、収入を得ることができます。
次からは田舎の土地の利用法について考えていくことにしましょう。

その土地は活用できる土地なのか?

田舎の土地活用を考える上で、まず覚えておかなくてはならないのが土地の地目や区域区分です。
場合によっては、考え付いた土地活用法ができない場合があるからです。
田舎の土地の場合、法律で規制されている土地が多く存在します。
土地活用を考える前に、まずは自分の持っている田舎の土地について確認してみると良いでしょう。

・市街化調整区域ではないか?
国土交通省の発表によれば、市街化調整区域に指定されている土地は、374万ヘクタールあると言われています。
市街化を抑制すべき区域として定められているため、原則として建物を建てることができません。
似た土地区分に市街化区域と言うものがありますが、こちらはすでに市街化を形成している区分に当たるため、人口の約7割が住んでいる土地となっています。

それに対し市街化調整区域は農地や森林を守るために設置されている土地となりますので、特別な許可を得ない限り建物を建てることはできません。
建物を建てないことが前提となる土地活用法を考える必要が出てきます。
ソーラーや資材置き場、駐車場のような建物を必要としない活用法や高齢者施設などの土地柄必要とみなされる施設であれば許可が下りる可能性もありますので、その方向で考えをまとめていくと良いでしょう。

・農地ではないか?
地目が農地となっている場合、これもまた活用法が大きく制限されることになります。
なぜなら、農地は農地法と言う法律によって保護されている土地だからです。
農地を減らさないために厳しく制限が設けられているため、売却や利用方法を変えるために特別な許可が必要となります。
もちろん全く不可能なことではありませんが、一定の条件が整っていることが条件となりますので、かなり難しい選択と言えるでしょう。

土地の行く末を考える

田舎の土地の場合、その土地の行く末を考えておくことも大切です。
将来自分たちが住もうと考えているのか、そうでないのかでも土地活用法は変化します。
また、子供たちに譲ろうと考えていれば、長く収益の見込める活用法が有効と言えるでしょう。
まずは、その土地をどうしたいと思っているかについても考えてみるようにしましょう。

自分で、それとも委託する?

土地活用を考える前に自分で行っていくのか、それとも人に任せるべきか、考える必要があるでしょう。
高齢で、もう自分で動くのは無理と言うのであれば、利益は少々減ってしまいますが、他人に任せるのも良い方法です。
反対に多くの利益を見込みたいと考えるのであれば、自分で活用法を実践してみると良いでしょう。

田舎の土地の活用例

大まかな土地の指標が決まってきたら、さっそくどんな活用法にするべきか考えていくことにしましょう。
色々ある活用法の中から自分の土地に合った、目的に近い活用法を見つけていきましょう。
土地活用法は、投資をあまり必要としないものと建設など多額の投資を必要とするものに大きく分けることができます。
それぞれを詳しく見ていくことにしましょう。

投資をあまり必要としない土地の活用法

初期費用があまりかからない土地の活用方法は、誰でも始められると言うメリットがある反面、競争相手も多く、土地の条件によっては上手くいかなかったり、期待したほど収入が入らないと言ったリスクが生じ易くなっています。
自分の土地にマッチした活用法を慎重に検討することが大切になってきます。
田舎の土地にふさわしい初期投資の少ない活用法を紹介していますので、ぜひ検討する際のヒントとしてみて下さい。

・駐車場
田舎の土地とは言え、立地条件が合えば、駐車場として活用していくことができます。
駐車場は区画を整えるだけで簡単に始めることができるため、比較的ハードルの低い活用法です。
また、他の用途へ転用するのも容易ですし、ロック板などを設置しても投資額が抑え目なのも嬉しい点です。
近隣に家が多く建っていたり、駅などが身近にあると言うのであれば、駐車場として活用していくのが良いでしょう。
駐車場は大きく分けて月極駐車場とコインパーキングの2つの利用法が考えられます。
住宅地の場合には月極、商店街や駅など人が集まる場所であればコインパーキングで検討していきましょう。

・トランクルーム
トランクルームとは土地に荷物を置いておくためのコンテナなどを設置し、その利用料として収入を得る活用法です。
荷物を預かると言う単純なシステムですが、一度契約を取れば解約が発生しにくく、長く利益を得ることができますので、土地活用として広く普及しています。
他の用途への転用が容易なことや初期費用をあまり必要としない点もおすすめな理由と言えるでしょう。

・貸し農園
貸し農園は近所の農家などに土地を貸すパターンとシェア農園などとして運営していく方法などが色々あります。
土地を農園として貸す場合には近所の農家が土地を必要としていたり、農業を始めたい方や食育のなど一環として公的機関や企業に貸し出すことができるので、まずは貸す相手を見つけることから始めなくてはなりませんが、一度契約を取ることができれば長く利用してもらえるため、手間のかからない活用法と言えるでしょう。
また、シェア農園は自分自身で運営できると言うメリットがあります。
一定の区分に分割し多くの借り手を見つければ、収入が途絶えてしまうことなく、継続的に収益が出ます。
水路や土壌などの初期費用は少し必要となりますが、比較的誰でも始めやすい起業と言えるでしょう。
他のシェア農園との競争に勝つために、お客に対し、農業の知識などを提供したりする人材を雇うなど、ランニングコストもある程度は必要となりますが、近くに田畑の広がる田舎の土地ならではの活用法と言えますので、検討してみるのも良いでしょう。

・資材置き場
土地さえあれば、始められるのが資材置き場としての活用です。
もちろん、平らな土地であることやある程度の広さを持ち合わせていること、トラックでの運搬となるため、接道している道幅が広いことなどが条件となりますが、この条件をクリアすることができていれば簡単に始めることができます。
しかし、資材置き場を必要としている業者は土地などを保有していることも多いため、都合よく貸し手が見つかると言う訳ではありません。

・野立看板の設置
野立看板とは野外に設置されている看板のことです。
田舎なので野立看板の設置なんて無理があるのではと考える方も多いですが、田舎にも多くの幹線道路が通っています。
また、線路沿い、高速沿いなどは需要もありますので、そのような立地に土地がある場合には、ぜひ野立看板での活用を考えてみると良いでしょう。
看板での土地活用をサポートしてくれる企業も全国にたくさんありますので、まずは自分の土地が看板設置の需要にマッチするか相談してみると良いでしょう。

・借地
土地のみを貸し出して、借地料を受け取ると言う最もシンプルな土地活用法であるため、借り手を探したいと言う所有者の方も多いことでしょう。
ですが、簡単に始められる反面、田舎では高額な借地料はあまり期待できないのが一般的です。
また、借り手は大抵その土地の上に建物を建てて利用するため、いったん建物を建てられてしまうと、地主の都合で退去を求めることが難しくなります。
その土地をただ置いておくよりは有効な方法と言えますが、きちんと契約期間を定める「定期借地権」で貸し出すことが大切と言えるでしょう。

多額の投資を必要とする土地の活用法

多額の投資を必要とする土地活用は、どうしても失敗した時のリスクを考えてしましますよね。
しかし、初期投資を必要としない土地活用と比べ、多くの収入が期待できると言うメリットがあります。
もちろん、まったくリスクを伴わないと言う保証はありませんが、投資を上回る利益が見込める方法もたくさんあります。

・コインランドリー
コインランドリーと聞くと、独身者が利用するものと言うイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、梅雨の時期や花粉の季節などはコインランドリーの需要が急増しています。
また、最近では、毛布や布団など大型のものまで洗濯、乾燥できるため、自宅では決して綺麗にすることのできなかったものをコインランドリーに持ち込むと言うニーズも高まっています。
靴が洗える洗濯機や乾燥機が設置されるなど、主婦層の間ではコインランドリーは根強い人気があります。
コインランドリーを始めるためには、建物と業務用の洗濯機や乾燥機が必要とあるため、それなりの投資が必要となりますが、運営に手間がかからないため、起業後のメリットが多い土地活用法と言えるでしょう。
スーパーやドラックストアなど主婦が頻繁に利用する商店周辺などでは、投資資金の戻りもよりスムーズになります。

・太陽光発電(ソーラーパネルの設置)
田舎での土地活用法として頻繁に見かける太陽光発電ですが、近年、電力の買い取り額が下がり、その人気も低迷していましたが、ここ数年また土地活用法としての人気の回復が見受けられます。
その一番の理由は、やはり太陽光発電の需要が増えたことによる、ソーラーパネルのコストダウンと言えます。
平地で日当たりが良く、落葉や積雪が少ない地盤のしっかりしている土地であれば、太陽光発電に向いていると言われていますので、土地活用法の一つとして考えてみるのも良いでしょう。
ただしデメリットも少なくありません。
高額な投資が必要となるため、一度始めてしまうと一定期間、発電を続けなくては損をしてしまいます。
また、周辺の環境が変わってしまい思ったような資金の回収が見込めないこともあります。
近所のクレームになることも考えられますので、土地活用法として選ぶ場合には、慎重さが必要です。

・介護施設
これからの将来、高齢者が増えることから、介護施設のニーズは増えつつあります。
田舎でも賃貸の需要が見込めるため、土地活用として介護施設を考える方も多いのではないでしょうか?自分で携わらなくても、建物丸ごと賃貸物件として貸し出すこともできるため、一見メリットの多い活用法と感じてしまいがちですが、近年では介護報酬の落ち込みにより、経営難となってしまう施設も少なくありません。
長期的に、期待した収入が得られないケースもあると頭に入れておくことが大切です。

・コンビニ
現在では全国どこにでもあるコンビニですが、田舎でも需要のある土地活用法の一つです。
所在地でのニーズと運営側の判断によるところもありますが、出店が下りればそれなりの収入が見込めます。
ただしコンビニなどのチェーン店は一定以上の収入が見込めない場合、撤退のリスクも高くなります。
田舎では、建物だけが残るケースも多いため、もしもの時の活用法も考えておく必要があります。

・アパート
田舎は都会と比べ、アパートの賃料や需要も高くはありませんが、土地活用法としてメリットの多い投資です。
入退出に伴うランニングコストがかかり、手間を必要とするイメージも多いですが、今では一括して管理、運営してくれる業者も増えてきているため、高齢者でも始めることができるため、財産として子供たちに残してあげることも可能です。
一度初期費用を投じれば、後は毎月安定した収入が見込めるため、失敗の少ない活用法です。
田舎でアパート運営を始めるのであれば、その所在地に合った建物を考えてみると良いでしょう。
家族向けにするのか、単身向きにするのかによっても入居者数が大きく変わってしまうため、ニーズに応じた物件にすることが重要です。
キャッシュ・フローを計算し、リスクをできるだけ抑える計画を立てていくことが大切です。