東京と言う都市は東京オリンピックを控え、ますます世界中から注目されています。
また、経済、政治、文化、芸術、歴史、スポーツとあらゆるジャンルの中心でもあり、常に人が集まってくる場所でもありますので、アパート経営を考えている人にとっては非常に魅力的な場所です。
アパートの賃貸料も高い東京ですが、土地や建築費も地方都市より一段と高くアパート経営をして割が合うのか、合わないのか検討中の方も多いと思います。
そこで、東京でアパート建築を行う場合の建築費の相場や賃料、工務店について詳しく見ていくことにしましょう。
全国平均の相場
アパート経営を行う人にとって、アパートの建築費用はできるだけ安く抑えたいと考えるのが当然です。
アパートの建築費用と言っても、その建物の広さ、大きさ、戸数、工法によって大きく変化してきますので、なかなか相場と言うのは分かりづらいかもしれません。
もちろん、その建築物が広くて大きくて、戸数が多いと当然費用もどんどん膨らんでいきますが、どのような工法を採用して建物を建てるかにも大きく影響されます。
一般的なアパート建築の場合、木造建築、軽量鉄骨、鉄筋コンクリート(RC)の順に強度も上がりますが、それに比例して建築費用も高くなります。
木造の場合は主に2~3階建てのアパート、軽量鉄骨は2~4階建てのアパート、鉄筋コンクリートとなるとアパートよりも主にマンションの建築工法となります。
坪単価で考えると、木造では約55万円、軽量鉄骨は約70万円、鉄筋コンクリート70万円強ほどになります。
1坪は約3.3㎡となりますので、建築単価(1㎡あたりの費用)は、木造で約17万円、軽量鉄骨で約21万円、鉄筋コンクリートで約23万円となり、自分が建てようとするアパートの総床面積をかけた金額が全国平均におけるおおよその建築費用になります。
東京での建築費用は?
アパート建築の全国平均の価格に比べて、東京でアパート建築の相場は高いと言うのが実状です。
例えば、木造アパートの場合、全国的には坪単価が約55万円ほどであるのに対して、東京では約64万円ほどです。
建築単価で考えると、全国平均では約17万円、東京では20万円弱ですので、1割5分ほど高くなります。
軽量鉄骨や鉄筋コンクリートでのアパート建設においても全国平均と比較すると東京の方が2割強高い建築費用になる傾向にあります。
もっと、具体的に金額を算出してみましょう。
例えば、木造2階建の単身者向けのアパートを建築するとします。
30㎡で1Kの部屋が10戸あるアパートとすると、東京の木造の建築単価の平均が20万円ほどなので30㎡×10戸×20万円=6,000万円の建築費がかかりますし、鉄筋コンクリートの場合、建築単価を25万円として同じように計算すると30㎡×10戸×25万円=7,500万円となります。
アパートを建築するだけでなく土地も購入する場合は、これに土地代もかかってきます。
さらに、土地造成費、外構工事、駐車場設備などの諸費用もかかります。
東京での建築費用が高いわけ
2020年の東京オリンピックに向けて、東京全体で建設ラッシュが続いています。
オリンピック関連の建設事業は期限が決まっている国家プロジェクトであり、建設業者も通常よりも多くの人員を割いて一斉に取り組んでいます。
このため、慢性的に東京における建築資材や建築のための人材が不足しており、その影響でマンション、アパート、住宅の建設費用が高騰している状態になっています。
東京では住宅の工事費は、2割5分ほど上昇していますが、全国的にも建築価格は高騰しています。
また、オリンピック需要に加えて消費税の増税問題もあり、駆け込み需要で建設ラッシュが続く東京では、しばらくアパート建築費用も全国平均に比べて高い状態が続くと予想されます。
東京でアパート建設を考えている人にとっては、しばらく良い状態ではないと考えられますが、正確な将来予想はなかなか難しいですし、時期を伺ってばかりいると時間だけが無駄に経過してしまいます。
時期をみることはもちろん大切なことではありますが、まずは情報をしっかり集め、コストをできるだけ抑えることのできる優良なアパート建設業者を選ぶこと、収益の見込める設計を始め、事業計画を練ることから始めてみると良いでしょう。
東京は世界的な都市です。
人口も多いですし、賃貸アパートの需要も非常に高い都市であるので、賃料も他の都市に比べると高くなります。
東京と一口に言ってもエリアごとに需要も違ってきますが、東京全体を見てみるとワンルームの賃料は約7~8万円、ファミリー世帯も暮らすことができる2LDKの賃料は約13~14万円ほどです。
都心部からかなり離れた地域だとワンルームでも4~5万円ほどとなっており、地方都市とさほど変わらない賃料のところもあります。
また、都心部で人気エリアの場合、ワンルームで15万円以上の賃料が見込めるケースも珍しくありません。
東京の人口は約1,300万人です。
これは日本の人口の約10パーセントを占める数字であり、東京と言う都市に日本の人口が極端に集中していることが分かります。
少子高齢化問題や人口減少問題など様々な人口問題が注目される日本社会ですが、東京の人口増加傾向はここ20年ほど続いており、今後も続くであろうと予想されています。
東京の世帯人口を見てみると、ファミリー世帯は徐々に減少傾向にありながらも、単身世帯はどんどん増加しています。
単身世帯増加の背景には、海外からの外資系企業の日本進出に伴う外国人の日本滞在者が増えたこと、未婚者や離婚者が増えたこと、企業や大学などの都市部回帰に伴って通勤時間の短い都心部に居住希望者が増えたことなどが挙げられます。
東京の賃貸物件に住む居住者の約7割が単身者で、2人世帯が2割弱ですし、若者の単身世帯の9割が賃貸住宅に住んでいると言う結果もあります。
単身者が圧倒的に多い東京でアパート経営を行う場合は、このような単身世帯のニーズにしっかり寄り添えるようなアパート経営計画を立てることがポイントと言えるでしょう。
東京でアパート建築をする場合でも、地方都市と同じようにハウスメーカーか工務店のどちらかに依頼するのが一般的です(3階以上の鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は建築会社にすることが多いようです)。
ハウスメーカーと工務店のどちらが良いと言うことは簡単には言えませんが、それぞれの良い点、悪い点を知って、オーナーさんのニーズにしっかり対応してもらえる信頼できる業者を探すようにしましょう。
大手ハウスメーカーに依頼する場合
東京でアパート建築する場合は、東京での施工数の多いハウスメーカーから検討するのが良いでしょう。
東京の場合、ハウスメーカーに相談すると、モデルルームや東京でのアパート建築の実例を見学させてもらえることがあります。
大手ハウスメーカーはアパート建築から経営までの計画書も非常にクオリティーが高いと言われていますので、数社に相談してしっかり計画を練ってみることをお勧めします。
東京オリンピック前なので大手ハウスメーカーでも建築資材の高騰や人件費が通常より高い傾向がありますが、アパート経営の面でノウハウをしっかりと持っているところが多いので、自分に合った信頼できるメーカーが見つかれば心強い味方になってくれることでしょう。
大手ハウスメーカーはアパート経営に関するほぼ全ての工程を行ってくれていますので、手間をかけたくないオーナーさんには向いています。
東京での大手ハウスメーカーの利益率は30~40パーセントほどであると考えておいてください。
しかし、建築時にメーカーのプランを超えて工事を行うとなると費用がかなり高めになってしまいます。
また、都会はメーカーの社員数も多いので担当者が途中で変わったりするケースも珍しくありません。
(完成後は関連子会社の専門管理会社の担当の対応に変わります。
)このように、担当者とのコミュニケーションが密に取りにくい点も頭に入れておきましょう。
ハウスメーカーによっては、東京に限らず、その周辺地域に人気のメーカーも多々ありますので、まずは各ハウスメーカーがどの地域での施工数が多いのか調べることから始めてみましょう。
工務店に依頼する場合
東京でも地域の工務店はたくさんありますので、地域に根差した良心的なアパート建築のできる工務店を探してみましょう。
大手ハウスメーカーに比べて知名度はありませんが、大手のハウスメーカーのようにあらかじめ色々なことが決められていないため、オーナーさんの希望を細かく聞いてもらえることも地域の工務店の良いところです。
建築費用もハウスメーカーよりも安く済む場合が多いですし、アパート完成後でも担当者が変わらず相談に乗ってくれます。
困ったことがあった時など、いつでも応じてもらえるのも工務店利用のメリットです。
工務店によっては大手ハウスメーカーに比べて提案力が低く、アパート経営のノウハウが少ないこともありますが、長年東京で住宅建設を行っている工務店は横のつながりもあり、ハウスメーカーよりも小回りが利く業者と言えるかもしれません。
自分の要望や意見を親身になって受け止めてもらえる工務店を探してみましょう。
東京は人口も増加傾向にありますので、東京での土地活用としてアパート経営をしたいと考えている人も少なくありません。
都心部で便利が良くて広い土地があると言う場合は収入を得るチャンスですので、ぜひアパート経営を積極的に行ってみると良いでしょう。
しかし、東京に土地があっても土地が狭かったり、周りを建物で囲まれた旗竿地であったり、ウナギの寝床のような間口が狭いと言うような悪条件の土地がある場合はどうしたらよいのでしょうか?
アパートを建てるためには、土地を造成したり、工事車両を入れたりする必要があるので悪条件の土地は大手ハウスメーカーの企画に合わないことが多く、建築を断られたり、建築の費用が非常に高くなってしまうことがあります。
しかし、このような場合でも個々のニーズに柔軟に対応してもらえるのが工務店です。
良心的な工務店と出会うことができれば、大手ハウスメーカーでは対応できない細かな要望が通りますし、大手ハウスメーカーではなかなか提案されないようなアパート建築を良いコストパフォーマンスで提案してもらえることがあります。
悪条件の土地だからとアパート建設をあきらめてしまうのではなく、良い工務店を見つけることから始めてみましょう。
東京は若い単身世帯が多いので、ドラマに出てくるようなデザイン重視のアパートを経営しているオーナーさんもかなり見かけますが、アパート経営で重要なことはできるだけ空室を作らないことです。
利用する側から考えると確かに外観も間取りも奇抜で格好の良いデザインと言うのは入居の決め手になりますが、シンプルであっても美しく、飽きのこない、居心地の良い物件の方が長期的に考えると入居率が高い物件になることが多いのです。
東京の若い単身者向けのアパート建築であっても長期的なニーズを考慮し、どんなアパート建築にすれば良いかをよく検討するようにしましょう。
日本国内において、人口減少の時代に突入している現在でも東京の人口は増え続けています。
アパートを経営するオーナーさんにとって空室が多い状態が続くことが一番心配することなので人口減少のない場所、つまり東京やその周辺の都市は非常に魅力的な場所と言うことになります。
経営側の心理を読んで、「東京でのアパート経営は絶対に損することはない」と上手い話を持ってくる業者も少なくありませんが、実際問題として、東京でも賃貸物件に空室がないと言うことはありません。
東京であってもアパート経営にはリスクは必ずあると言うことです。
空室のリスクの他にも、賃料下落のリスクもあります。
東京ではオリンピックを控え不動産の高騰が起こっており、このためアパートの賃料もその影響を受けてここ数年は上がっていますが、その後、どうなるのかはまだ分かっていません。
また、地震などの災害も起こる可能性があります。
アパート経営では建物の修繕費などもすべてオーナー負担になると言うことを覚えておきましょう。
この他にも忘れてはいけないリスクが、金利上昇のリスクです。
日本は長期的に低金利の状態が続いてきましたが、今後金利が上昇すると言うシンクタンクの見方もあります。
将来的リスクを考えた上で、無理のない自分の身の丈に合ったアパート経営を計画することが大切です。
東京でのアパート経営は、一見非常に利回りの良い投資のように感じるかもしれませんが、どこでアパート経営をしようとも必ずリスクは存在します。
リスクを踏まえたアパート建築、経営計画を実現させていきましょう。