アパート建築Q&A

アパート経営における利回りの計算方法

アパートのオーナーになると言うことは、自営業者になるということです。
アパート経営が儲かればたくさんの収益を見込むことができますが、経営が上手くいかない場合は赤字経営になりますので、どんどん支出だけが膨らんでしまいます。
誰しもアパート経営をして損をしたいとは考えていませんが、上手く行かなかった場合は全て自己責任となり、最悪の場合はアパート自体を手放すという可能性もあります。

そこで大切なことは、アパート経営を始める前に、自分がそのアパートを経営すると、どのくらいの利益が期待できるのかということを長期に渡って、しっかりシュミレーションすることです。
そのシミュレーションで重要になってくるのが、アパート経営の利回りです。

利回りと聞くと、なんとなく難しく細かい計算で目を背けたくなりますが、長期的なアパート経営には、状況を想定して利回りの目安を知ることが大切です。
利回りの計算方法は初めての方には、とっつきにくいかも知れませんが、ぜひがんばってトライしてみましょう。

アパート経営の利回りとは?

アパート経営の利回りとは、簡単に言うとアパートのために土地を買ったり、建物を建築することによってかかる支出に対する利益の割合のことです。
アパート経営のためには多額の費用がかかりますので、アパート経営をして実際にそのアパートがどのぐらいの利益を生むのかということをアパート経営に踏み出す前にしっかりとシミュレーションすることが大切になります。
アパート経営を始めた当初は多額のローンが残っていますし、税金の額も種類もたくさんあって、なかなかアパート経営の利益が出ないことも考えられるのです。
ですが、しっかりと確実にアパートの賃貸状況を良好に維持できれば長期的には利益が出てくるはずです。
どのくらいで当初の支出を回収することが可能なのか、どのぐらいの期間でどの程度の利益が見込まれるのかという収支計画を立てるために必要になってくるのがアパートの利回りです。

利回りの種類

○ 表面利回り

表面利回りとは年間に見込まれる収入をアパートの購入金額で割ったものです。
物件情報などに利回りの記載がありますが、その多くがこのように計算された表面利回りになります。

(計算方法)
表面利回り=年間家賃収入 ÷ アパート購入金額

です。
例えば、アパートの購入代金が1億円で年間家賃収入が800万円だとすると
800万円 ÷ 1億円 = 0.08 =8パーセント

となり、このアパート経営の表面利回りは8パーセントであるということになります。

アパートの購入代金は事前に分かっていますし、計画上のアパート経営で見込まれる収益で計算しますので実際とは異なりますが、ざっと物件を購入した時のおおよその収益指標になります。
アパート経営には想定外の費用がかかったり、税金がかかったりすることもありますし、上手く借り手が集まるとも限りませんので、あくまでも経営当初の大まかな収入の見込みを表すために使われます。
アパートの購入費用が多額であるのに、アパート賃貸収入が少ないと表面利率は下がっていきます。

○ 実質利回り

アパート経営をするために土地を取得したり、建物を建てたりすると色々な税金や費用がかかります。
アパート経営にかかる費用として固定資産税、火災保険料、建物管理費用、賃貸管理費、修繕積立金、不動産仲介料、その他にも想定外の費用がかかります。
表面利回りでは考えなかった、アパート経営をするための年間の費用を考慮した利率ということで実質利回りと言います。

(計算方法)
実質利回り = (年間家賃収入 - 年間支出 ) ÷ アパート購入価格

が実質利回りの計算です。

例えば年間家賃収入が800万円、年間の税金が20万円、管理費が40万円、修繕積立金が30万円、借入金に対する利息負担が80万円、アパートの購入代金が1億円とすると

(800万円―20万円-40万円-30万円―80万円) ÷ 1億円 
= 0.063= 6.3パーセントとなります。

アパート運営にかかる税金や管理費、修繕費など実際にかかる費用を収入から引いているので、より現実に近い利回りを表すことができます。
当然、表面利回りよりも実質利回りの方が、利率が悪くなって当然と言えるでしょう。
アパート経営はそんなに簡単なものではないため、できるだけ現実に近いデータを表すことが大切になってきます。

○ 想定利回り

想定利回りとは、アパートが常に満室であるという最高の状態での家賃収入を見込んで利回りを計算したものです。

(計算方法)
想定利回り = 年間最高家賃収入 ÷ アパート購入価格
です。

例えば、年間最高家賃が850万円、アパート購入価格が1億円とすると
850万円 ÷ 1億円 =0.085 =8.5パーセント
となります。

自分が経営するアパートが常に満室であるということは最高の状態です。
しかし、実際には常にアパートが満室でない場合もありますので、想定利回りでの計算は表面利回りよりも良い利率であると思っておきましょう。
アパート経営を斡旋する業者は少しでもアパート経営の良い成績をオーナーさんに出したいので想定利回りで話を進めてくることも良くあります。
実際の厳しい利回りを提示されるより、考えられる最高の数値を提示した方がオーナーさんの反応も良くなるため、アパート経営を相談する時は、説明されている利率はどのようなものなのかということをしっかり把握しておくようにしましょう。

○ 投資利回り(自己資本収益率)

投資利回りと言うのは、想定される賃貸利益をオーナーさんが実際に拠出する資金で割った利回りのことです。
もし、アパートを中古で購入する場合は、現時点での実際家賃を計算することが可能です。

(計算方法)
投資利回り = 年間家賃収入 ÷ (アパート購入価格 - 自己資金 )
です。

例えば、年間家賃収入が800万円、アパート購入価格1億円、自己資金2000万円だとすると、
800万円 ÷ 2000万円 =0.04 =4パーセント
となり、投資利回り(自己資本収益率)は4パーセントとなります。

○ NOI利回り

NOIとは、Net Operation Incomeを省略したものです。
実質利回りと似ていますが、NOI利回りとは、ローン返済額は考慮していない利回りです。
実際のアパート収入から税金、管理費、修繕積立金、その他費用を引いて計算します。
ローン返済や減価償却費を含みません。
不動産投資のプロが良く使う利回りがNOI利回りです。

(計算方法)
NOI利回り=(年間家賃収入 - 年間支出<ローン返済含まない> ) ÷ アパート購入価格となります。

例えば、年間家賃収入が800万円、年間の税金が20万円、管理費が40万円、修繕積立金が30万円、アパートの購入代金が1億円とすると

(800万円―20万円-40万円-30万円) ÷ 1億円 = 0.071= 7.1パーセントとなります。

○ 最終利回り

想定利回り、投資利回り、実質利回りと言うものはアパート経営を行う前に、長期的なシミュレーションをするために算出される数字です。
満室の状態であったり、修繕費があまりかからないと想定していることもあり、実際の数字よりも良い利率が算出されると考えておいた方が無難です。
アパート経営は実際に始めてみないと、どのような状態になるか分かりません。
思ったほど借り手がすぐに見つからずに空室が目立つこともありますし、賃料を値下げすることもあります。

また、アパート経営を行い始めてから想定外に費用がかかるということも珍しいことではありません。
最終利回りは、そのような想定外の損害も含めて実際のアパート経営での利回りを計算したものです。

シュミレーションサイトを利用しよう

アパート経営の利回り計算は専門的なことも多く、どうしても面倒だと考えてしまいがちです。
詳しい計算をすることも、もちろん大切ですが、アパート経営をするための第一歩としてどの程度の利回りが期待できるのかと言うことを簡単に知るために、インターネットで不動産投資の利回り計算を簡単に行ってくれるサイトがあります。

簡単な数字を入れるだけである程度の利回りなどが算出されてきますのでお手軽です。
まずは、そのようなサイトで利回り計算をしてから、専門家に相談に行くのも良い方法です。