アパート経営を始めようと土地や建物を購入した場合、売買契約書などに必要となる印紙税や取得した土地や家屋の登記にかかる登録免許税、建物の販売価格に対する消費税などの他に、不動産を取得したことに対する税金が課せられます。
これを不動産取得税と言います。
アパートを建設する場合にも、不動産を購入した時点で、1度だけ課せられる地方税となっていますが、一定の条件を満たしている家屋、住宅に関しては税額の軽減措置が設けられています。
不動産取得税の軽減措置は一般的に個人に限定され、不動産の取得者自身が住居として使うことが条件となっていますが、収益物件でも新築に限り、不動産取得者が住居として使用しなくてもこの軽減措置を受けることができます。
ここではそんな不動産取得税について詳しく見ていくことにしましょう。
不動産取得税とは、不動産つまり土地やアパートなど不動産を取得した方に対し課せられる地方税です。
取得方法が売買であっても、贈与であっても不動産取得税は支払う必要がありますし、新築に限らず増築した場合にも課税されます。
ただし、相続で不動産を取得した場合だけ、不動産取得税は課税されません。
登記申請したのち、各都道府県から納税通知書が送られてきますので、その指示に従い金融機関などを通じて納付する必要があります。
不動産取得税の税率は、基本的に4%で計算されます。
固定資産税評価額に対し、税率である4%をかけた値が不動産取得税となります。
ただし、平成33年3月31日までに購入した土地及び住宅に関しては軽減措置が設けられており、3%の税率が適用されています。
本来支払うべき税率より1%ほど軽減が受けられるのです。
今だけその軽減メリットを受けることができるのですが、不動産取得税は購入した実際の金額に課せられるわけではありません。
購入した土地、建物のある地町村の固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額で計算されます。
固定資産税評価額は、常に一定と言う訳ではなく、適正な地価に基づいて3年に1度見直されています。
自分の固定資産税評価額については納税通知書にも記載がありますので、各々確認してみましょう。
平成33年3月31日までに購入した宅地及び宅地比準の土地の場合、課税の減税措置により、固定資産税評価額を実際の評価額の1/2として計算することが認められています。
不動産取得税額がグンとお得になると言う訳です。
不動産所得税=固定資産税評価額×1/2×3%
当初は平成30年までとされていた減税措置ですが、現在平成33年まで延期されたことで不動産取得税の減額が継続されています。
しかし、今後この税率、固定資産税評価額の減額が適用されるとは限りません。
アパート経営を検討中と言う方は、この軽減措置の有効なうちに土地、アパートの購入を考えてみるのがおすすめです。
不動産取得税は固定資産税評価額つまり課税標準額によって、課税の対象とならないこともあります。
つまり非課税となるケースです。
この非課税の対象についても確認しておくことにしましょう。
不動産取得税が、非課税となるのは以下のようなケースです。
上記ケースにおいては、課税の対象となりません。
しかし、土地や家屋の取得後1年以内に隣接している土地を購入した場合や増築などを行った場合には、これを含めた固定資産税評価額の合計で判断されることになりますので、課税の対象となるケースもありますので注意しましょう。
不動産取得税においての軽減措置は税率ばかりではありません。
一定の条件を満たした特例適用住宅と見なされれば、不動産所得税の控除を受けることができます。
アパートなどの賃貸目的の建物も例外ではなく、上手く活用することで不動産取得税がかなり抑えられることがあります。
ただし、この控除、いわゆる軽減処置を受けるためには不動産取得の申告の際に、加えて手続きが必要となります。
特例適用住宅として認定してもらうために、建物工事請負契約書、確認済証、検査済証、登記簿謄本(抄本)などの書類と不動産取得税減額適用申請書を不動産取得日から60日以内に都道府県税事務所に提出する必要がでてきます。
各都道府県によって提出期限が異なることもありますので、確認した上で忘れず行うようにしましょう。
では、その条件、軽減額について見ていくことにしましょう。
賃貸物件であるアパートの様に構造上独立した区画を有する住宅でも、新築したり、新築住宅を購入した場合、条件さえ当てはまれば、特例適用住宅と認められ、控除を受けることができます。
その控除額は1200万円。
かなりの額が軽減されることになりますので、不動産取得税が数万円になることも少なくありません。
これは、取得者自身が住居として使わない、賃貸目的だけのアパートも含まれますので、嬉しい限りです。
(固定資産税評価額-1200)×3%=不動産取得税
まずはその条件を見てみることにしましょう。
控除を受けることのできる条件は、1室あたりの床面積が40平米以上240平米以下の新築住宅であること。
たったこれだけの条件をクリアすれば特例適用住宅と認められます。
アパートの場合多くの建物がこの条件に該当することになりますので、住居に対する課税が、ゼロになったり、数万円にまで軽減できることも少なくありません。
ただし、共有部分がある場合は、その共有スペースの床面積を均等に、各室に割り振りプラスした面積で計算する必要があります。
アパートの場合マンションなどと違って共有部分もさほど多くはありませんが、節税のために設計の段階から考えてみることも大切と言えるでしょう。
認定長期優良住宅なら1300万円の控除が受けられる
特例適用住宅と認められれば、1200万円の控除を受けることができますが、更に長期優良住宅と認められれば1300万円の軽減措置が適用されます。
不動産取得税=(固定辛酸税評価額-1300)×3%
長期優良住宅とは文字通り、長期にわたり住み続けられる住宅を指します。
特例適用住宅の申請と異なり、施工前に認定のための申請を出す必要がありますが、アパート建設でも適用されますので、長期優良住宅の条件に付いても触れておきましょう。
これらの条件を満たせば、長期優良住宅として認定されます。
修繕などが安く済みますし、ローンも組みやすいことなどから、長期優良住宅のアパートを選ぶ方も増えてきています。
ただしコストが高くなると言うデメリットも同時に検討する必要があります。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいた項目となっていますので、節税だけでなく、アパート設計の段階で業者に相談を持ち掛けてみると良いでしょう。
新築のアパートを建てる際に合わせて購入する土地に関しても不動産取得税の軽減措置が適用されます。
ただし、住宅が特例の対象となることが条件となります。
また、用地購入から、2年以内(や無負えない事情がある場合には最長4年以内)に特例適用住宅を建設することが条件となります。
軽減額は次のいずれか額の多い方が適用となります。
平成33年3月31日までに購入した場合には、さらに固定資産税評価額が1/2となりますので、下記の様な計算となります。
不動産所得税=固定資産税評価額×1/2×3%-軽減額
アパートの軽減措置が適用となることが条件となっていますが、土地の高額な大都市などの場合、かなりの節税となりますので、頭に入れておけると良いでしょう。
土地を購入してから軽減の対象となるアパートを建設すると言う方もいると思いますが、実際に新築を行うまでの間、土地に対する納税の猶予が設けられています。
不動産取得税減額予定の申告を行うことで、不動産取得税の納税に猶予が与えられます。
その後、期限内である3年以内に特例適用住宅もしくは、長期優良住宅に該当するアパートを新築することで、不動産取得税はそのまま免除されます。
しかし、この設けられた期限を超えてしまうと、減額とはならず追加課税されてしまいますので、必ず納税猶予が定めている期限を守るようにしましょう。
アパート経営で不動産所得を得られるようになると、その大きなメリットから青色申告を選ぶことになると思います。
青色申告は10万円の控除が得られたり、複式簿記に則って記帳することで最高65万円の特別控除が必要経費として計上できます。
経費が多ければ多いほど、課税所得が減ることになりますので、大きなメリットと言えるのですが、不動産取得税は、果たして経費として扱えるのでしょうか?
個人事業主が確定申告する際に「租税公課」と言う項目がありますが、この租税とは、国や地方に支払う税金を指します。
そのため、賃貸目的で購入した不動産であれば、不動産取得税も租税と言えますので、経費として計上できます。
他にも登録免許税や印紙税、固定資産税なども経費として落とすことができますので、節税のためにもしっかり経費としていきましょう。