アパート建築Q&A

アパート建築時の注意点。しっかり儲かるアパート経営を目指して

アパートを建築して不動産投資をすれば、利回りの良い投資になる・・・と安易に考えている人は間違いなく失敗します。
なぜならば、アパート建築やアパート経営はしっかりとした知識や戦略なく取り組んで儲かるほど甘いものではないからです。
しかし、逆に言えば、アパート経営について勉強し、注意点やニーズを調査して事業に取り組むことができれば、リスクの少ない安心な投資となります。
アパート建築やアパート経営で失敗をせず、安定した収入を得るためには、どのようなことに注意したらよいのでしょうか?

アパート経営で大切なことは空室を作らないこと

アパート経営で一番大切なことは、長期に渡って空室率が低く、満室の状態で運営できることです。
アパート経営を考えている人の多くは、アパート建築をするときに銀行などの金融機関から資金の融資を受けると思いますが、賃貸収入が入ってこないとアパート経営を行いながら、この融資に対する返済を行うことができなくなってしまいます。
最悪の場合、アパート経営が継続できなってしまうことも考えられるのです。
このようなことにならないためにも、借り手のニーズにしっかり寄り添った設計にしたり、立地場所を考えたり、メンテナンス性をあらかじめしっかりと把握しておくことが大切になります。

入居者のニーズに合ったアパート経営であるか

オーナーさんから見てどんなに素敵なアパートでも、ニーズに合わないアパートには借り手は現れません。
長期的に安定した賃貸収入を得るためには、入居者のニーズに合ったアパート建築をすることが大切になってきます。

部屋を借りる場合
・家賃が安い
・間取りがちょうどいい
・地域性
・交通の便が良いか
・建物が安全で綺麗

と言うようなことを考慮して入居をする人が多いと思いますが、オーナーさんも借り手の立場になってアパート建築を考えていくことがポイントとなります。

ターゲットとなる客層はどこか

アパート建築をする場合、深く考えずにアパートを漠然と建てても、まず安定した収入を得ることはできません。
いくら土地を有効活用するためにアパート経営を始めても、そこに借り手となる人がいないとアパートはいつまでたっても空室のままです。
誰も住んでいない田舎の土地にアパートを建てても、誰も借り手が付かないと言うことです。
ですから、まずオーナーさんはアパート建築を始める前に、アパートの顧客をどのような層にするのか絞ることが不可欠になってきます。

単身世帯がターゲットの場合

日本では未婚者、離婚者が増えていますので単身世帯は増加していくと見られています。
このことからアパート経営においても、ファミリー層よりも単身者層を対象としたアパート建築が中心になりつつあります。
つまり、平米数あたりの賃貸収入が高いのは単身者層向けのアパートと言うことになります。
多くの単身者は平日の日中は仕事で留守なので、夜間と休日だけ自宅に戻ると言う生活をしていますから、アパートの広さや間取りよりも会社や学校に通いやすい場所、つまり交通の便が良い場所を好む傾向があります。
アパート建築を考えている場所が徒歩で最寄りの駅に行けたり、電車で都心まですぐに出られたりするところであるならば、単身者向けのアパートを建てる方が儲かることが予想されます。

ファミリー層がターゲットの場合

単身者はアパートの建物そのものよりも、交通の便が良い場所を選ぶ傾向にあるのに対して、ファミリー層の場合は少々都心へのアクセスが悪くても、子育てがしやすい環境を優先する傾向があります。
例えば、学校や幼稚園、公園や図書館、また病院やショッピングセンターが近いと言う立地はファミリー層に人気があります。
ファミリー向けのアパートの場合、ある程度の広さが必要となったり、間取りや内装にも気をつかったりする必要がありますが、一旦入居すれば単身者よりも入居期間が長いので安定した賃貸収入が見込めます。
もし、アパート建築を考えている土地の近くに人気の小学校や中学校がある場合は単身者向けのアパートにするよりもファミリー層向けのアパートを建築した方が断然安定したアパート経営になることでしょう。

アパートの建物への配慮

長期に渡ってアパート経営を行うためには、できるだけアパート建築そのものに対してコストをかけないことやリフォームやメンテナンスにコストがかからないことが非常に大切です。
しかし、コスト削減を必要以上に優先してしまうと賃貸アパートとしてのクオリティーが下がってしまい、結果的に入居者が入らない状態になってしまいます。
このことからもアパート建築に取り掛かる前に、建設当初のコストだけでなく、長期的な建物維持のための計画をしっかり考えておくようにしましょう。

経済設計になっているか 設計効率が悪いと施工費用が高くなる

アパート建築をする場合、経済的に無駄のない建築にすることが大切です。
つまり、建物の坪単価をできるだけ抑えるように考えることが重要になってきます。
例えば、建築資材に無駄が出ないようにしたり、規格外の資材を使わないようにできるだけ工場の既製品を使うようにします。
既製品を利用する場合と改めてカスタマイズされたものを利用するのとでは、例え大きさの規模に変わりがないものでもカスタマイズされたものの方が費用もぐんと高くなります。
また、建物の形状としては、総2階や総3階のようにどのフロアも同じ大きさで平面形状のものにしたり、建物の凸凹が少ない外壁形状にしたりすることもコスト削減につながります。
建物の凸凹を減らすことで建物自体の強度も上がりますし、雨水の侵入率も下がります。
内装の工夫としては、無駄な設備を少なくすることや電気や照明、テレビ設置プラグ、電話線、水道管などの配管を効率よく無駄のない設置にすることが大切です。
部屋の設備の無駄はできる限り削る必要がありますが、必要なところに必要なものがないと言う部屋は使い勝手が悪いので、入居者のニーズに対応できていないことになります。

アパートの世帯数と賃料のバランス

床面積が同じで、同じ工法、同じ仕様で建てられたアパートでも世帯数が少ない建物の方が建築坪単価は安くなります。
つまり、ファミリー層向けの間取りで、ある程度面積がある部屋の方が、単身者向けの狭い部屋を作るよりも建設費が安く済むと言うことです。
しかし、建築坪単価が安くても、ファミリー向けのアパートの方が世帯数も少なくなるのでアパートの総家賃収入は少なくなることもありますし、建築坪単価が高くなる単身者向けのアパートの方が、総家賃収入が高くなることが多いです。
これはあくまでもアパートに入居者が満室で入っている状態での計算になりますので、実際とは違ってしまう可能性も大いにあります。
このことからも、アパート建築前にしっかり地域性などを考慮して市場調査を行うことが重要です。

長期修繕関係のリフォームはしやすいか

アパート建築の前段階で、アパートの修繕費について考えてもあまりピンと来ないかもしれませんが、アパート経営をするオーナーさんにとって今後長期に渡って行うべきアパートの修繕費は非常に重くのしかかってくる問題と言えます。
しっかりとコストを意識して事前に考えておくことが大切です。
修繕費はアパートに限らず、マンションや団地などの集団住宅で必要となるものですが、大規模な修繕はおおよそ10年~15年に一度行われるのが一般的です。
修繕内容としては、外壁修繕、屋上、屋根、ベランダ等の雨漏り防止工事、給水ポンプ交換、給湯器、エアコン交換、鉄製部品の防錆工事などアパートの基本機能にかかわる設備のリフォーム工事です。
このような修繕には多額の費用がかかりますが、定期的に行っておかないとアパートのクオリティーが下がることになり、資産価値が下がったり、入居者が入らなかったりすることにもつながってしまいます。

長期的にかかる修繕費は必要不可欠なものですが、できるだけ修繕費を安く抑えるために、アパート建築を行う前にある程度工夫はできます。
例えば、外壁工事や屋根の工事を行う大規模な修繕で足場を組みますが、足場の組み立てや解体にもコストがかかりますし、重機の搬入も必要になります。
このため、敷地にゆとりがあったり、隣接する道幅が広かったりすると支出が下がります。
また、建物は凹凸がないシンプルな直方体の方が工事しやすいためコストが抑えられます。
他にも長期修繕費を削減するための工夫をあらかじめ考えた上で、アパート建築を進めていくことが重要です。

入居者入れ替えの際の修繕リフォームはしやすいか

大規模修繕に比べると入居者の入れ替え時に行う修繕費はあまりかかりません。
しかし、次の入居者が入るまでにアパートの原状が回復させていないと入居者が入らなかったり、クレームの原因になってしまいます。
手抜きをせずに、良い状態で受け渡す準備を整えることが重要です。
入居者の入れ替え時の修繕費としては、クロスの張替え、クッションフロアの張替え、障子、ふすま、網戸の張替え、ハウスクリーニングなのですが、アパート建築をする計画の段階で修繕費用をできるだけ抑えることができます。
例えば、クロスをできるだけ簡単に張り替えられるよう壁の凹凸を少なくしたり、水回りも汚れが落ちやすい素材を選んだり、取り換える必要のある部品も費用を抑える既製品にするなどです。
また、設計の段階からメンテナンス費用があまりかからないよう工夫したり、メンテナンスがほとんど必要ないメンテナンスフリーのものを採用することで、最初の建築費用は高くなりますが結果的にコスト削減につながることもあります。
ハウスメーカーや工務店に相談してみましょう。

一般的なアパートの建築費用を知っておく

アパート経営で収入を上げるためには、アパートの建築費用をできるだけ抑えることが大切です。
しかし、せっかくの新築アパートを建てても、コスト削減ばかりしているとアパートの安全面が下がったり、品質が下がったりすることで周りの賃貸住宅との競争に勝てず、入居者が入らないため、結果的に儲からなくなってしまいます。
賃貸アパートを建築するためには、華美な設備や装飾はできるだけ減らしてシンプルでも居心地が良く、安心して暮らせると言うクオリティーの高いアパートを建築することがポイントになってきます。
そのためにも、周辺地域の賃貸アパートのおおよその坪単価を調べてバランスの取れた質の良いアパートを建築することが大切です。
全国的な坪単価は木造建築だと約55万円前後、鉄筋コンクリート造だと70万円~100万円ほどが相場となっています。
アパート建築をハウスメーカーや工務店に依頼して建設する場合、地域的にどれぐらいの費用でアパートを建設するのが妥当なのかを、担当者とよく相談して検討するようにしましょう。

キャッシュフローが出る経営になるか

昔は土地を持っている地主さんがアパート経営をすると言う時代でしたが、最近では一般のサラリーマンが不動産投資としてアパート経営を行うことも珍しくなくなってきています。
不動産投資としてアパート経営を行う場合、きちんとキャッシュフローが出るアパート経営になるようアパート建築をすることも重要です。
アパート建築へのコストをできるだけ削減するためには、ハウスメーカーや工務店の意見も参考にすると思いますが、営業マンの言う通りにアパート建築をするのではなく、自分でも建築物について調べたり、資金調達を考えたり、市場調査をした上でアパート建設を試みるようにしましょう。

ハウスメーカーではアパート建築だけでなくアパート経営のアドバイスを一貫して行ってくれるところも多く、面倒な調査や手続きが嫌だな…と考えている人にとっては至れり尽くせりな面もありますが、一般的には建設費用は高めですし、会社の規模が大きいので建築時の担当者とは全く違う経営管理の担当者が経営面をアドバイスすることになるので一貫した担当者がいなくなり不安に感じてしまうことも。

いくらハウスメーカーがアドバイスをしてくれても、実際に費用負担をしてアパート経営を行うのは自分自身で、ハウスメーカーが損失の責任を取ってくれるわけではありません。
アパート経営にはリスクが常に伴います。
もちろん親身になって相談に乗ってくれる担当者もたくさんいますが、自分が経営者であることをしっかり自覚してアパート建築に取り組みましょう。
資金の返済計画や入居率の見通しが甘いとキャッシュフローは出ません。
常に最悪の場合を考えて、アパート経営が行き詰まった場合でも、「売却しやすい物件か?」なども検討しておけると良いでしょう。