アパート建築Q&A

アパート建築中のトラブルと対応

アパート建設中には様々なトラブルが起こる可能性があります。
トラブルについてはある程度覚悟もしているとは思いますが、やはりその対応次第で、裁判など大ごとになるケースもありますので、最適な対処策をしっかり把握しておくことが大切です。
アパート建設中の色々なトラブルを例に、その対処策を紹介していくことにしましょう。

施工会社とのトラブル

アパートを建ててもらっている施工会社とのトラブルは実は少なくありません。
どんなトラブル事例があるのか、まずはそのあたりから見てみることにしましょう。

契約上のトラブル

施工業者と新規契約を行ってアパートの建設が始まりますが、未着工時に出されたプランと費用が異なりトラブルとなるケースがあります。
契約書に基づき、第1回分を支払ってしまったものの、その後工事費が大幅に増えてしまったなどの理由で、高額請求をされた場合などは本当に困ってしまいますよね。
もちろん工事の内容に納得し、増えてしまった工事費の負担を納得できれば良いのですが、内容が不明であったり、明確ではない場合、やはり支払いを考えてしまうのは致し方ないことです。

(対策)

基本的にこうした契約の内容に違反する場合、初めの契約通りの金額を主張するのが正解でしょう。
しかし、業者間との問題は複雑化することも少なくありません。
問題が容易に解決できない場合、法律家などに仲介に入ってもらうことも選択肢の一つです。

施工のトラブル

賃貸物件として人に貸し出して収入を得ることになるアパートですから、施工のトラブルは避けたいものです。
建設中にこうした問題が浮上することもありますが、住民が住み始めてからようやく施工不良が発覚するケースも非常に多くなっています。
施工の手抜きで、壁が薄く、人が住み始めてから騒音などが問題となることも多いようです。
後のトラブルを回避するためにも、できることであれば建設中に万全を期しておきたいものです。
建設中は業者に任せきりになってしまう傾向が目立ちますが、大手メーカーとはいえ安心してはいけません。

(対策)

良いアパートを建てるためには、アパート建設の計画はもちろんのこと、建設中の監督も重要になってきます。
建設中に問題が見つかれば、その後のトラブルを未然に防ぐことに繋がりますので、十分な対策を準備しておきたいものです。
ですが、建設に関する専門的な分野にまで知識がある方も少ないと思います。
業者とは無関係な第三者、プロの建築士などに依頼し、「建設は問題なく行われているか?」「設計、計画に基づいて行われているか?」など監視をお願いしてみると安心ですね。

建設できない

建築基準法や都市計画法には建ぺい率・容積率の制限が設けられています。
それを十分理解せずに安易に計画を進めてしまうと、いざ建設を進める際に、予定通りに建てることができないというトラブルを抱えてしまうことがあります。
そのような場合、計画と異なり、施工内容が大きく変更される可能性があり、賃貸に当てられる面積が少なくなってしまうこともあるようです。
その後の収入も大きく変わってしまうことになりますので、注意すべき点でしょう。

(対策)

事前に十分計画を練ることが大切です。土地の条件を満たし、賃貸物件となる建設のプランと収益の見通しを念入りに立てておくことが大切です。
今では、アパート建設を計画からすべて任せることのできる業者なども多くありますので、経験豊富なプロの意見を聞いて計画を進めていくことも、考えに入れてみると良いでしょう。

予定した工期を過ぎてしまう

賃貸として扱うアパートは工事が終了する前に住居者を募ります。
しかし、予定した工期になっても完成しない場合、これもトラブルとなります。
完成後、入居者が待っていますので、ただ工事が終わらないのでは困ってしまいますよね。
契約書や約款には一般的に、こうした工事が期限内に終わらなかった場合の損害賠償や違約金について記載がありますが、工期延長の記載がない場合、問題は大きくなってしまいます。
天候など避けることのできない事情の場合、業者側に損害賠償請求はできなくなってしまいますので、金銭的にも、精神的にも負担が増えることになってしまいます。

(対策)

対策としてはやはり、契約の段階で、工期延長についても取り決めを行っておくことでしょう。
また、こうしたトラブルに発展してしまう前に、頻繁に現場に足を運び、施工の進行状況の確認や、早く工事を進めてもらえるよう責任者側に訴えることも大切です。
早めの対策を忘れないようにしましょう。

隣人トラブル

建設中に特に多いのがご近所とのトラブルです。
特に日照や景観、騒音などのトラブルはよく耳にする例です。
隣地の日照権を保護するために、高さの制限や斜線規制等が定められていますが、この基準を満たすことができないと損害賠償や建築の差止請求を受けることがあります。
また、景観についても例え建設基準法を満たしていても、景観が失われると近所トラブルに発展する可能性があります。
建設中は、騒音が問題となるケースもあり、公害防止条例で設けられた建設可能な時間帯などを業者も含め守っていく姿勢が重要です。

近隣対策は?

こうした色々な近所トラブルを避けるためにも、事前に綿密な建設計画を立てることが大切です。
建設に入ってから、差し止めや損害賠償請求を求められないためにも、近所間トラブルを起こさないプラン、建築計画を心がけましょう。
また、建設に関して近隣住民の理解を得るためにも、説明や挨拶周りなどを十分に行うこともポイントになってきます。
近所住民との密なコミュニケーションで解決、問題を回避できることもありますので、頭に入れておけるといいでしょう。

建設中に起こりうる近所トラブル例

建設中に起こる可能性のあるトラブルは、日照、景観、騒音問題だけではありません。小さなことが発端となり、トラブルが大きな問題に発展することもありますので、どんなトラブルが考えられるのか、その一例についても見ていくことにしましょう。

  • 建設作業の音がうるさい。
  • 工事車両の出入りが、通行の邪魔になる。
  • 工事現場からのほこりで洗濯ものが汚れる。
  • 現場から出る泥が道路に流れてきて、汚い。
  • 作業員の出すごみが迷惑になっている。危ない。(タバコや釘など)
  • 近隣住宅とアパートの屋根や壁が近く、危険だ。
  • 近隣住宅とアパートの窓が近く、プライバシーが侵害されて困る。
  • ごみ置き場が、目も前にできてしまい迷惑だ。

などです。

こうしたクレームは一度起きてしまうと収めることも簡単にはいかなくなります。
また、業者の出入りが激しくなる時期は、近隣住民とトラブルになることも少なくありません。
こうした施工上の説明は業者が請け負ってくれるのが一般的ですが、アパート建設の場合、それでは十分といえないことも少なくありません。
建設が始まる前はもちろんのこと、建設がピークを迎える頃にも、地主として、挨拶回りを行うと良いでしょう。
建設が終了し、賃貸物件として機能する前にも、今までの迷惑へのお詫びと今後住民が起こすトラブルなどを見越して、近所への配慮を怠らないようにしましょう。