アパートの立て替えは、普通の家を取り壊して立て替えるのと少々事情が変わってきます。
アパートの建て替えに際して、どのような注意点が考えられるのでしょうか?
今現在、入居者がいるアパートを新しく立て替える場合、入居者を退去させる必要が出てきます。
すべての退去が完了しないと、アパートを取り壊すことさえできません。
また、これらの手続きと並行しながら、新しいアパートのプランを請負工事の会社側と何度も話し合っていく必要が出てきます。
この話し合いでプランと請負金額が決まったら、業者と工事請負契約を行った後、ようやく新築アパート工事に着手することができます。
アパートの建て替えが決まったら、まずは他人任せにせずにオーナーさん自身がしっかり勉強して建て替えの流れを把握し、建て替えの始めから終わりまでのプランを理解しておくことが大切です。
入居者の退去からアパートの完成までの流れは、非常に複雑で難しいことも多いため、長年アパート経営をしてきたオーナーさんでもハウスメーカーや建築業者に任せた結果、思っていた以上に費用がかかってしまったり、実際にできたアパートが思っていたものと違ってしまったり・・・などのケースが多くあります。
大手ハウスメーカーなどは、複雑な作業の全てを代行してくれるところも多いのですが、費用が高額になりがちですし、設計会社に依頼すると建設費の他に設計費用がかかってしまいます。
このため、アパートの建て替えをどの業者に依頼するかは、早い段階で1社に絞り込まないことが大切です。
オーナーさんが主体となって、色々な業者に設計や費用の見積もり、アパート建て替えのプランを提案してもらうようにしましょう。
他の業者と比較することなく最初から特定の業者に決めてしまうと、費用面などで折り合いがつかなくなった場合、それまでお世話になっていたこともあり、断わり切れずに、相手側の要求を呑むしかなくなってしまいます。
古いアパートで入居者が誰もいない物件ならば立ち退きの問題もありませんが、1世帯でも現在入居者がいる場合、その入居者の方に立ち退いてもらう必要がでてきます。
賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。
「普通借契約」は賃貸物件を定められた期間借りることができ、その契約期間が満了しても借り手が契約更新することができるというものです。
一方、「定期借家契約」というのは、契約期間が満了すると借り手が契約更新を希望してもできないというものです。
通常、アパートの賃貸契約は前者の普通借家契約であり、日本では借り手の立場が強く守られているため、アパートの建て替えなど、オーナーの一方的な都合による契約解除は、簡単にできないこととなっています。
普通借家契約のアパートを立て替えるにあたり入居者に退去してもらう場合は、立ち退き料を払う必要があります。
立ち退きの手続きは、アパートのオーナーか弁護士しかできません。
このため、多くの場合、オーナーが直接入居者に立ち退きしてもらえるようにお願い行くのが一般的です。
入居者が立ち退きに応じない場合は、オーナーの意思だけでアパートを取り壊すことができません。
このため、日ごろから入居者と円満な関係を保ったり、コミュニケーションを取ったりしておくことが重要です。
また、一般的な立ち退き料の相場は、新しい住居の保証金、敷金、礼金、仲介手数料、引っ越し費用を支払える額として、家賃の3~6か月分ほどを支払うことが多くなっています。
アパートの建て壊し費用は、その構造が木造なのか鉄筋コンクリート造なのかということによっても相場が変わってきます。
一般的に1坪あたり3万円ほどの建て壊し費用がかかるのが相場ですが、アパートを解体するときに必要な重機が入らない場所や特殊な廃棄物などがある場合は割高になります。
建物を取り壊す場合は、解体業者に委託することになりますが、解体業者によってかなり費用に差がありますので、数社の業者に見積もりを取ってから比較することが大切です。
また、解体自体をハウスメーカーや工務店などにそのままお願いすることも多いと思いますが、その場合は中間業者を挟むことになるので費用は多めにかかってきます。
これらを頭に入れた上で、業者を選択するようにしましょう。
アパートを立て替えるとなると、重機やトラックが敷地周辺を頻繁に行き来することが多くなります。
また、解体に際しては騒音や粉塵などで周囲へ少なからず迷惑をかけることになります。
解体業者や建築業者などには、事前にしっかり近所に配慮してあいさつ回りをしてくれるところもありますが、アパートのオーナーとして事前に、隣住民に工事の説明やお詫びをしておくことは以後のアパート経営のためにも大切です。