こんにちは。本日は神奈川県にお住まいの名取さんにお越しいただきました。
名取さんはご両親から相続した借地に新築アパートを建てておりまして、これまでに3棟の物件を所有されています。
借地権でのアパート経営は「やり方が分からない、融資付けが分からない」ということで、敬遠される方も多いのが現状です。
今日はそんな借地権のノウハウをしっかり学びたいと思います。
-アパート経営を始めたのはいつ頃からでしょうか?
名取:最初は大田区馬込の借地権ではじめまして、ちょうど10年前になります。
-始めから借地に建築する手法を採られていたのでしょうか?
名取:はい。今持っている3棟のアパートは、全部相続した借地にアパートを建てています。
-なぜ借地ばかりをターゲットにされるようになったのでしょうか?
名取:たまたま親から相続した土地が所有権ではなく、旧法借地権だったので特に狙っている訳ではないです。
最初は借地権にアパートが建てられる事をしらずに活用方法に困っていましたが、ネットでいろいろ調べると借地権であっても所有権と同じようにアパート経営が可能な事を知り専門家の方とも相談しながらアパート経営に挑戦してみました。
-なるほど。現在所有のアパートについて教えていただけますか?
名取:単身者向けの1Rにしています。先ほどお話しした馬込の物件と、あとは新宿区の神楽坂、それから世田谷の三軒茶屋です。全部で32戸になりました。
-素晴らしい場所ばかりですね!入居付けには苦労しなさそうです。
名取:そうですね。
ワンルームですからそれなりに退去もあるんですけど、客付けには困ってなくて、物件近くの仲介業者さんに依頼すれば、1ヶ月以内には決めていただいてます。
-管理会社を付けていらっしゃらないんですか。
名取:はい。私は主婦の他には仕事もありませんし、このくらいの規模なら自分で管理できます。
-とても順調に経営されていらっしゃるようにお見受けします。ご所有物件の平均利回りはどのくらいでしょうか。
名取:神楽坂のアパートがいちばん高くて、14%ちょっと。これは時期もよかったのですが。あとは12%程度です。
ここからローンの返済や借地料、お掃除の業者さんへのお支払いを差し引いて、だいたい家賃の6割~7割が手元に残る感じです。
-さすがに高い利回りですね。先ほどローンの返済とおっしゃいましたが、借地というと借入が難しいというイメージがあります。
名取:私の場合は借地権はすでに所有していてるので、建築費分のみの融資を受けています。特に融資が難しい事はありませんでしたよ。
-そうですか。高い利回りが実現できるのも分かります。では、借地に建築する際のポイントを教えていただけますか?
名取:まず、借地権には「旧法借地権」と「新法借地権」に分けられますが、必ず「旧法借地権」でなければいけません。
旧法借地件は、建物が存続する限りは更新ができる規定になっていますから安定しています。
金融機関の担当者も旧法借地に建築されたアパートでないと、融資が難しいと言っていました。
-旧法借地に限るということですね。
名取:それから、借地で建築する際には、地主さんから「立替の承諾書」をいただきます。融資を受ける際には承諾書が必須です。
承諾書がないと、「借地はあるけど、融資を受けてアパートは建てられない」という最悪の結果になりますからね。
-借地といっても色々あると思いますが、建築に向いている土地があれば教えてください。
名取:そうですね。できるだけ道路付けや形状のよい土地が向いていますね。特に都心部では、建ぺい率や容積率のほかにも、窓先空地や北側斜線規制など、建築をする時の規制がたくさんあります。
借地に限った話ではありませんが、土地の図面を見て「何平米のアパートが何戸建てられそうだな。家賃設定がこのくらいだから、利回りは何%取れそうだ」という概算が自分でできると、アパートを建築するべきかどうかの判断が非常に早くなります。
-知識がないと一般の方には難しそうです。
名取:パートナーに、すぐに質問ができる工務店さんか設計士の方がいらっしゃると、自分で知識がなくても大丈夫だと思います。
-建物については、工夫されている点はありますか?
名取:最近の流れですと、一戸あたりの面積は最低30m2必要なんて意見も聞きますが、私の場合はできるだけ多くの戸数を取りたいので、一戸あたりの専有面積は20m2程度です。
ただ、建築費単価としてはそれなりに掛けていまして、天井が高いロフト付きにしたり、床材は無垢のフローリングにするなど、素材やデザインが安っぽくならないように工夫しています。
-競争力のある立地で高利回り。借地でのアパート経営も、工夫次第で可能な事が分かりました。名取さん、今日はありがとうございました。