アパート建築Q&A

古いアパートを相続しました。どうしたらよいでしょう?

親が亡くなったことで、親の所有する古いアパートを自分の意思とは関係なく相続することになってしまった場合、どのように対処するのが良いのか本当に分かりませんよね。
古いアパートを相続した場合、どうするのが一番良いのでしょうか?

アパートの経営は簡単ではない

賃貸物件を建てることで収入が得られることから、土地の所有者であれば誰もがアパート経営を考えた時代もありましたが、人口減少が進む昨今の日本において、アパートを経営していくことは、そんなに容易なことではありません。
古いアパートを相続した後、それを順調に運営していけるケースはむしろ稀であると考えた方がいいでしょう。

と言うのも、アパート経営がスムーズに運ぶ時期は、アパート建築後15年までと言われているからです。
それより築年数が超えるアパートでは、空室率も当然増えることになりますし、賃料も下げる必要が出てきます。
同時に、建物の修繕などの費用も負担することになりますので、経営の厳しさは増すことになってしまうのです。

アパート経営を続けるのか、続けないのか?

古いアパートでも人気の文教地区にあり、駅や都心に近い、生活するための環境が整っている等、 立地条件や利便性の高い場所にあるアパートであれば、賃料を下げることによって入居率を維持することができます。
また、新たに費用を投じて建物をリフォームしたり、新しいアパートに建て替えたりすることで、積極的にアパート経営を続けていくこともできるでしょう。

しかし、その前に考えなくてはならないのが、相続したアパートは引き続き経営するべきか、しない方が良いのかという問題です。
地方都市にある、または利便性や環境があまり良くない場所に位置する古いアパートは、そのまま経営していても、修繕費がかかるばかりで、収入が増えることはまず考えられません。
その対処策として莫大な費用をかけて立て替えやリフォームしたとしても、入居率はさほど上がらないケースが多いそうです。

このため、相続したアパートの不動産価値や経営状況を客観的な目線で確認し、自分や家族の経済状況なども考慮に入れた上で、アパート経営が難しいと判断される場合には、アパートそのものを売却するという選択肢を考えに入れる必要が出てきます。

アパート経営を続ける場合は?

アパートという不動産を相続したからといって、アパート経営が順調に続くとは限りません。
アパート経営には、高い知識と経験が必要になってくることから、全くの素人が、ある日突然アパートを継いでも、成功できる確率は低くなります。
そんな理由から、地元の不動産会社など、アパート経営のプロに、相談してみることも非常に大切と言えるでしょう。
相続した古いアパートの適正賃料や入居状況、リフォームの必要性、備品の取り換え等をしっかり把握することもできるので、現実的にどのぐらい費用がかかって、どれぐらいの収入が入るのか、おおよその数字で分かります。

入居者を増やすためには、建物を綺麗にしたり、部屋の設備を新調したりする必要性も出てきますが、それらの費用は軽く見積もっても数百万円単位でかかってくることになります。
それだけの費用を投じてリフォームしても入居率が上がれば、数年でその元手を回収することができますが、入居率が上がらないと費用ばかりが負担となり、経営そのものが成り立たなくなってしまいます。
このような試算を参考に、アパート経営が成立すると判断される場合には、経営を管理委託するなどしてアパート経営を考えていくと良いでしょう。

アパート管理会社を変えるチャンス

古いアパートは多くの場合、昔からの地元の不動産会社に管理を委託しているケースも少なくありません。
長期間アパート管理を任せている業者はとても信頼できる存在ではありますが、空室があっても気にかけてくれなかったり、管理が手薄になってしまったりすることも多いのです。
古いアパートを相続して経営を続けると決めたら、不動産会社に支払う管理料なども他の不動産会社と比較した上で、これを機に委託会社を変えることも検討していきましょう。

アパートを売却する場合は?

アパート経営に全く興味がない、経営業務の負担が大きい、色々なことを試算すると赤字経営が見込まれるなど、アパート経営の継続が難しい場合には、相続した古いアパートを売却することも考えてみましょう。
古いアパートは構造上、問題を抱えている物件も多いですし、古すぎると建物の不動産価値が0というケースも珍しくありません。

築20~30年ほどのアパートは、状態さえ良ければ買い手が見つかることも少なくありませんが、状態が良いことを証明するためには、売却前に検査機関に依頼する必要が出てきます。
また、エアコンなど住宅設備が古いアパートを売却する場合には、売却後かかってくる設備費用をアパートの価格から差し引くなどの配慮もしなくてはなりません。

しかし、築30年以上経つアパートの場合は、こうした売却さえも難しくなってきます。建物部分を解体し土地だけで売却することも選択肢に入れてみるといいでしょう。
土地は古くなりませんから、場所さえ良ければ高値で売れる可能性も大いに考えられます。
ただし、土地だけを売ろうと建物を解体した場合には、建物のあるケースよりも固定資産税が6倍に跳ね上がってしまいますので、できるだけ早く売却することが大切になってきます。